main 長編

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「うわ、すごーい!めちゃくちゃ早い…!」



生まれて初めての経験に私は興奮していた
八戒さんの肩に乗ってた白竜がジープに変身?して(めちゃくちゃびっくりした)後ろの席に乗らせてもらっている
落ちないようにと悟浄さんと悟空さんに挟まれて、頬を撫でる風に心地良さを感じていると



「そういや雛菊ってさ、あの村から出たことあんの?」



悟空さんが私を見た



「小さい頃はふたつ隣…かな?の街で過ごしてたんですけど、15歳になる前には村に連れてこられてましたね」
「へぇ〜それってどんな所だったんだ?」
「割と大きい街で…結構賑わってましたよ。美味しいものも沢山ありましたし」



そう言うと悟空さんは目を輝かせた
よく「腹減った」と言っているし食べることが好きなんだろう
そんな彼を見て笑っていると車が大きく揺れて、思わず悟浄さんの胸に飛び込む



「おい八戒、運転荒くねぇか」
「仕方ありませんよ何せ山道ですから。雛菊さん、しっかり掴まっておいてくださいね」
「はぁい」



そのまま悟浄さんに身体を預けていると
何故かほんの少しだけ嫌な感じがした
村で妖怪に腕を掴まれていた時と同じ、嫌な感じが
その理由が分からないまま後ろの席の3人で話していると、少し向こうに明かりが見えてきた
目的地の街に到着したようだ
ジープを降りて辺りを見回す



「よっしゃ!美味いモン食いにいこーぜ雛菊!」
「わ、ちょっ……!」



悟空さんに腕を引かれよろめく
めちゃくちゃ力強くない?この人



「アホか先に宿だ。お前も来い」
「……うぃーす」



ハリセンを手に持つ三蔵さんの殺気に負け、大人しく彼に従った
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