main 長編

□7
1ページ/3ページ



「おっそいなぁ〜雛菊」



悟空が足をブラつかせている
宵風さんから聞いた合流地点にいるものの、一向に彼女が現れる気配がない
霧も晴れてきたしジープで走るには問題無さそうだけど



「……なーんかあったのかね」



煙草を足で踏み消し、悟浄が村の方向を見た
村の人に怪しまれないように雛菊さんはひとりでこの合流地点に向かうという事になったけど



「やはり誰か迎えに行くべきでしたかね…いくら森羅さんが居るとはいえ女性ですし」
「チッ 様子を見てく……」



三蔵が腰を上げたと同時に一発の銃声が聞こえた
僕達は顔を見合わせる
こんな時期に熊だろうか?いやそんなハズはない



「行くぞ」



銃を取り出し音の聞こえた方へ足を向ける三蔵
僕らも後に続こうとした所で頭上から複数の妖気が降りてきた



「三蔵一行ォ!逃がさねぇぜ!」
「チィッ こんな時にまで元気だねぇ」



悟浄が錫杖を構え応戦する
多少時間を稼がれる数だったが全く問題ない
襲ってきた妖怪を一掃したところで悟空が言った



「……すっげー甘い匂いがする。これ多分、雛菊の血の匂いだ」
「!? どっちだ」
「んーと、あっち!!」



走り出す悟空の後ろをついて行く
先程の銃声と関係あるとすれば…なんて嫌な想像が頭をよぎる



「……妙だと思わねぇか」



隣を走る三蔵が言った



「言われた場所に雛菊ではなく妖怪が現れた。それに奴らは俺らを『三蔵一行』と認識していた」
「……状況から考えれば、こちらの計画を知っていたとなりますね」



しかし昨日の夜での今日という訳だからどこかで勘づかれるような時間は無かったと思うが…



「まさか……」
「チッ 急ぐぞ」



ひとつの仮定が浮かび、地面を蹴る力を強めた
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ