main 長編

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ベッドに転がり格子窓から月を見る
先程までの事を思い出し額に手を当てた



「……まさかだよ、本当に」



一度捨ててしまった希望が、再び私を期待させる事になるとは思わなかった…と闇に向けて笑う
今日初めて会った、しかも男達に自分の運命を預けるなんてらしくないと考える反面、あの人達なら大丈夫と思う自分もいた



(森羅はまだまだ生きたいんだよね…)



歴代の森羅万象の器と共に生きてきた彼女
でも大概は15の解禁日に妖怪に喰われてしまい、そこで森羅も終わり
ずっと退屈な時間を送ってきたそうだ
だから今回、雛菊が生きている事をすごく喜んでいた
それなのに私は生きることを諦めていて



(森羅に申し訳ないことしちゃったなぁ)



私だって死にたいワケじゃない
でも、運命に抗うことで誰かを犠牲にする事が怖かった



「……太陽、かぁ」



彼らの事を思い出し、何故か今度こそあの手を離しちゃダメだと思った
森羅の過去の記憶と混合しているのだろうか?
また彼女が起きている時にでも聞いてみよう
そう思いながら瞼を閉じ、久しぶりによく寝る事ができた
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