main 長編

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次の日は朝からずっと走りっぱなしで
運転する八戒さんとジープくんの疲労が心配になりながらも、あと少しで街という所までやって来た



「腹減ったぁーーーー」
「お前さっきからずっとそれじゃねぇか」
「燃費悪いんだね、悟空さんって」
「雛菊〜なんか食いモン持って……ん?」



後部座席で並んで会話をしていると悟空さんが何かに気付く
私と悟浄さんもそちらに目を向けると、少し離れたところで女の人が見えた
何かから逃げている様子に前にいる二人も気がついたようで



「このまま突っ込みますよ」



八戒さんの言葉を合図に両脇の二人が武器を取り出す
スピードをあげたジープはそのまま彼女を追う影を何人か轢いて
うわ、痛そう…と思っている間にも妖怪は悟空さん達によって肉塊となっていた



「おねーサン大丈夫?」
「あ…いやっ…!!」



腰が抜けたのかその場に座り込む女性
混乱しているのか悟浄さんの手を振り払い、青い顔をしている
私はジープから降りて震える彼女の肩に触れた



「あの、いちお私女なんで…もう大丈夫ですから」



そう言うと緊張が解けたのか私に抱きついて泣き出した
背中を撫でながら確認したけど、怪我は無さそうで



「ありがとうございました。皆さんがいなかったらと思うと…」



落ち着きを取り戻した彼女は丁寧にお礼を言った
なんでも私達が目指している街に住んでいるそうで、おつかいの帰り道に妖怪に襲われたようだ
話を聞いている途中で彼女が私をじっくり見る



「……?」
「…………雛菊?」
「え、」



名前を呼ばれたことに驚く



「雛菊よね?
私、蜜月!ホラ、昔…」
「……嘘、蜜月さん!?」



ぱっとよみがえった記憶
あの村に連れて行かれる前、これから行く街で住んでいた幼い頃に出会ったお姉ちゃん



「元気だったのね!よかった…!ずっと心配してたのよ」
「蜜月さんも元気だったんだね!うわ〜久しぶり!」



互いに手を取り抱きつく
数年ぶりに見る彼女は見違えるほど綺麗になっていて
そのまま蜜月さんに街までの案内をお願いする事にした
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