NRC

□海よりも深く
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人の姿になってから2年。
歩くのも走るのも、何をするのも慣れた。
違う種族の観察は面白いし、揶揄って遊んだり喧嘩したり。
海の中には無いモノが、陸には沢山ある。

例えば……。


「フロイド、どうかしましたか?」

「ねぇジェイド……ワタアメって不思議じゃね?口に入れた瞬間にシュワって消えんの。」

「綿飴、ですか。ザラメを使った砂糖菓子ですよね、確かに…言われてみれば不思議な食べ物ではあります。」

「金魚ちゃんトコで聞いてみよっかな、アソコお茶会ばっかしてんじゃん?」

「そうですね。今度聞いてみましょうか。」

休み時間にジェイドの教室に遊びに行って、途中で小エビちゃんに貰ったワタアメを二人で食べながら他愛無い会話をする。
海の中には無い食べ物。
あま〜いお菓子。
口の中が甘ったるくて、教室を出てから食堂に向かった。口直しに何か飲みたい。

「ん〜…何にしよっかなぁ。」

珈琲、紅茶、炭酸水…色々あるけど、オレは珈琲にした。
食堂だと堂々とサボリ過ぎだから、カップを手に寮へ向かった。鏡の間に到着した時、誰かの気配に気付いて振り返る。

「……ジェイド…?」

「はい。サボるのなら、お供しますよ。」
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