NRC

□夜半に揺れる
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取り敢えず、大事にしまっておこう。綺麗だし、高そうだし…何より失くしたり傷つけてたりしたら後が怖いし。







「…面白い…。」

人間が部屋へ戻るのを見届け、ゆっくりと徒歩で寮へと向かう。
静かな夜半とはいかなかったが、面白い夜半であった。

この僕を恐れない処か、あの様な事を言われるとは…。リリアが聞けば、嘸笑い転げただろう。

吹く風は心地良く、ほんの微かに潮の香りを纏う。

『貴方の隣に並ぶのは、その玩具では無いでしょう?』

『オレ等なら、も〜っと楽しませてやれるよ?』

僕が出向くのでは無く、其方から来るが礼儀だ。
無意識に上がる口角を自覚し、リリアにバレぬ内にと脚を早めた。



「人魚の血肉は、嘸美味なのだろう。」



end.


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