短編(ブック)

□七武海と少女——
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ミホーク——

ミホークは七武海の会議にフラリとやってきたと思えば
気が付けばいなくなるような人物だった。
小さないかだに乗ってやってくる彼はいつでも一人だった。

そんな彼が七武海の会議に海軍本部に来ていた時
一人でいる小さな少女を見つけた。

ミホークはなんとなく気になった。

ミホーク「こんなところで子一人で何をしている?」
『?』

芝生の上で本を読んでいた小さな少女は
ミホークの方へと目を向ける。

二人は見つめ合い
そこには静かな時間が流れる。

ミホーク「寒くないのか?」
『? さむくないよ?』
ミホーク「そうか……」
『七武海の会議ならあっちよ?』
ミホーク「ああ……」

始めての会話はこれで終わってしまった。

それから時々現れるミホークに
小さな少女はだんだんと慣れていく。

『あ ミホークだ!』
ミホーク「また大きくなったな アリア」
『そりゃね』
ミホーク「そういえばこの間赤髪と会った時に
 お前の話ばかりしていたぞ」
『あー……またか
 あの人ずっとあんな感じなの?』
ミホーク「そうだな あまり変わらん」
『そうなのね まったく』
ミホーク「奴に比べれば アリアは大人だな」
『……そう見える?』
ミホーク「? ああ」
『そっか……』

少女の顔に影がかかる。
ミホークはその表情に疑問を持った。

ミホーク「……まァ どちらにせよ
 今日もいい暇つぶしができた
 またどこかで会えるといいな」
『放浪癖のあるあなたに
 出会えるなんて稀だと思う
 けど そうね また』

少しの会話だったが
ミホークにとって一人でいる時間の多い者にとって
誰かとの会話は貴重だった。

ミホーク「奴が言う
 “アリアを見かけたら気にかけてやってくれ”
 あれはあながち無視できないのかもしれないな
 まァ そう思っている奴なぞ
 この世界にいくらでもいるが
 それにアリアが気づくのはいつだろうか」

ミホークはその日を最後にアリアと会話する機会は減った
だが情報はいつでも入ってくる。
いつアリアがどうしたこうしたと
懸賞金が上がっただのなんだのと語る
飲み仲間からの情報をつまみに
今日も彼は遠くからアリアを気に掛ける。

〈遠い親戚のおじさん程度のかかわり方
 気にかけるのは—気まぐれーなのかもしれない〉
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