長編(ブック)

□第一話
2ページ/14ページ

小さな港町。

港には一年ほど前から海賊船が停泊していた。

風は東。

村はいたって平和である。

こんな日に限って行動力のある子は

活発になるものである。


『ルフィ…どこに行ったの〜…?』


港を目指しながら歩き弟を探す。

そこに近づくにつれて人が多くなる。


『ん?』


海賊船の船首に小さな子が立っていた。


『あ…いた』


人込みをかき分けて前へと出る。


ルフィ「おれは遊び半分なんかじゃないっ!! 
   もうあったまきた!!
   証拠を見せてやるっ!!」


船首に立つ弟。

左手には短刀が握られていた。


『あのばか…っ』


それを煽るように声を上げたのは

いつの間にかわたしの隣に立っていた男だった。


シャン「だっはっはっは おう! 
  やってみろ 何するか知らねェがな!」

『……シャンクス…っ』

シャン「よう! お前も見に来たのか? 
  そりゃそうだよな…アレは」

『煽らないでっ!!!』

シャン「そう怒るなって! 
  男はこうでなきゃな!」

『もう……』


何をするのかわからないが

固唾を飲んでそれを見守る。


「またルフィが面白ェ事やってるよ」


そうこれが日常茶飯事だ。

海賊船がこの村に泊まった時から言い続けているのだ…。

自分も連れていけ…と。

それを今日は度胸試しなのか

短刀をもって何かやるようだ。


途端、それは起きた。


ルフィ「ふん!!」


弟は自分の左頬…目の下に短刀を突き刺したのだ。


「な……」

『ルフィっ!!』


これには見ていた者みんな驚いていた。

わたしはすぐに船首へと向かう。


刺したところが痛かったのか

痛いと騒ぐ弟。

海賊たちもこれには大慌て。


『こんの…バカっ!!!』


痛がる弟の頭に拳骨をお見舞いして

船から降ろして酒場へと向かった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ