短編(ブック)

□年齢戻り事件(夢主4歳:記憶なし)
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夜を迎え
外の宴も落ち着き出したころ

ローの腕の中の人物が目を覚ます。
体を起こす女。

『………ふふ ありがとう』

その感謝は誰に告げたのかわからないが
突如波の音がかすかに聞こえ始める。

女はローの頭を撫でる。

『ごめんね 迷惑かけちゃった……』

ローの手を離れ 枕元に落ちていた写真立てを手に取る。
それを近くのテーブルに立てる。

すると腰元に腕が伸びる。

『あら 起こした?』
ロー「驚かせるな」
『不可抗力でしょ 許してちょうだい』
ロー「2日かかるという話だった」
『私もよくわからない』
ロー「まァ 病み上がりとして2日は一緒にいてもらう」
『口実?』
ロー「どうかな」
『いいよ 私も一緒にいたいから』
ロー「やけに素直だな」

ローはアリアの髪へ手を伸ばす。
小さい頃のアリアにした髪型は
元に戻ったことでなかったことになっており
黒い髪はさらさらとローの指を通してしまう。

『ふふ ローは手先が器用ね』
ロー「妹がいたといっただろ それに医者だぞ」
『そうね ロシィはドジってしまって可愛くできないって
 しょぼくれてた事があるわ』
ロー「そりゃ しょうがねェだろ 得意不得意があるからな」
『まだ寝る?』
ロー「そうだな それもいいが
 酒が飲みてェ気分だな」
『それじゃ取りに行く?』
ロー「いや “シャンブルズ”」

突如ローの手元には酒とグラスが二つ現れる。

『能力をそんな使い方して』
ロー「うるせェ」

二人で寄り添いながら酒を注いだグラスを合わせる。
グラスに口を付けて酒を煽った二人は
見合って 口を開く

「『愛してる(わ)』」

そしてキスを交わす。
一瞬のキスの後は二人で笑い合って
ゆっくり酒を飲んで語り合う。

今まで離れていた時間を埋めるように———
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