短編(ブック)

□七武海と少女——
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クロコダイルはその会議の後
フラリと廊下を歩いて船へと向かっていた。
その廊下から外を見ながら歩いていると
庭が見えた。

そこでまた少女を見つけた。

クロコダイルは少し興味本位で
声をかけてみようと思った。

窓を開け 砂になり
下へと降りた。

『!』

少女は降りてくる気配で振り向いた。

クロコダイル「驚いたな……
 “見聞色”を使えるのか……
 よう お嬢ちゃん」
『さっきの会議にいた………
 Mr.クロコダイル』
クロコダイル「お嬢ちゃんは賢いな
 七武海のメンバーを記憶してるのか
 その年で珍しいな」
『ええ 知識は時に武器になるから』

少女は表情一つ変えることなく
そう言った。

クロコダイル「そうか 賢い生き方を知ってるなァ
 どうだ おれと来ないか?
 そうだな……秘書として」
『結構よ 弟達もいるし
 何より やらなきゃいけない事もあるから』
クロコダイル「フラれちまったな
 まァ いい 気が向いたらおれのところに来い
 気長に待ってやる」
『あら それじゃあ
 気が向いたらね……そんな日は来ないと思うけど』
クロコダイル「クハハハハ!
 威勢のいい女か 将来有望だな
 じゃあな アリアちゃん」
『…………』

クロコダイルはそれだけ言って船へと向かった。

クロコダイルとしては
ドフラミンゴが興味を持つ少女に興味を持ち
その磨ききれてない原石を目の前に
時間が経てばおのずとその原石が輝きだすことを
確認したに過ぎない。

少し面白いものを見たと気分よく船に向かう途中
殺気に近い視線を感じた。

クロコ「おいおい おれをそんな睨むな」
ドフラ「フッフッフ 睨んでたつもりはないんだがなァ
 アリアちゃんはおれが手元に置いておくんだ
 手を出すなんざ許さねェよ 誰だろうと」
クロコ「誰もお前のに手を出さねェよ
 冗談も通じねェのか?
 いやだねー 余裕のねェ奴は……
 だが あれはお前に
 どうこうできる奴じゃなくなる事だけは伝えておく
 威勢のいい奴ほど時に噛みついて来ようとするからな
 お前はそれを扱えるのか?」
ドフラ「愚問だなァ……
 おれの“家族”に入れようってだけさ」
クロコ「“家族”ねェ
 あれを家族と言っていいのか定かではねェが
 まァ 精々噛みつかれてケガしねェ事だなァ
 それか……あれは“騎士(ナイト)”が身近にいるようなお姫様だ
 その“騎士”に切られねェ様にな」

手をヒラヒラとさせてクロコダイルは再び足を進める。

さて、なぜそんな助言めいた事を言ったのか
自分に言い聞かせるためか……
相手を心配してか……
否、ふと頭をよぎった言葉を
頭を通らず口から出たにすぎないのかもしれない。

それからクロコダイルと少女が会う事はなかったが
聞き及ぶ情報はお転婆さながらの情報から
自身の元へと向かう情報……。

結果、彼もドフラミンゴも
彼女に噛みつかれ、“騎士”達にやられてしまうのだが……。

それを悔いたかどうかは本人の心の中のみ知る。

〈ストーカー化しそうな知り合いに
 助言をして結果二人とも七武海落ちするという
 とんでもない結果に落ち着いた海賊
 彼は一体アリアの事をどう思っていたのか……
 ただの興味対象だっただけ……?〉
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