長編2(ブック)

□第百十三話
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それから少しすると鐘が鳴り始める。

「蛇姫様の〜〜〜〜!!
 湯浴ぁ〜〜〜〜み〜〜〜〜っ!!!
 ただちに城外へ〜〜〜〜!!
 蛇姫様の〜〜〜〜湯浴ぁ〜〜〜〜み〜〜〜〜」

食事を始めた者も問答無用で外へ出る。

「湯浴みの時間だわ……城の者達が来るから店が混むよ」

外の店は賑やかになる始める。

城の周りを囲うように人と布が侵入者を防ぐ。

「これより二刻(フタトキ)!! いかなる者も一切の入城を禁ずる!!!」

小さな子供が近場にいたランに話を聞く。

「蛇姫様の入浴はどうしていつもこんなに大げさなのかな
 そんなに裸を見せたくないのかな…」
「……あなたいくつになった?」
「8歳」
「——じゃ 教えてあげる」
「ゴルゴン三姉妹の……秘密?」
「そうよ!
 ゴルゴンとは昔中枢の海にいた怪物の名前よ
 目を合わせた者の体をたちまち石に変えてしまう恐ろしい怪物
 蛇姫様たち三姉妹は冒険の果てになんと
 その怪物ゴルゴンを見事に討ち取ったの
 ——だけど怪物は断末魔 3人の戦士に恐ろしい“呪い”をかけた
 蛇姫様達の背中には怪物の大きな目が刻まれ
 衣服を脱ぎ その“目”をあらわにすると…
 近くにいる人間達はみな石になって死ぬという呪い」
「えっ」
「——だからゴルゴン三姉妹は人前で決して衣服を取る事はない
 湯浴みの時には誰も近づけない様に こうやって陣をはるのよ」
「……………!! そうだったんだ…」
「勇敢に戦って背負った呪いだから
 それはこの戦士の国「九蛇」の誇りでもあるの わかる?」
「うん!! わかった やっぱり蛇姫様はスゴイのね」

ハンコックはお風呂へと入っていく。
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