長編2(ブック)

□第百十三話
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「!」
ハン「ニョン婆………!!
  ここはわらわの部屋じゃ なぜここにおる」

「ニ…ニョン婆様……!!」
「一体どこから!!」

ニョン「どこからでも入れる………!!」

ハン「撮み出せ!」

ニョン「待て 蛇姫!!!」

ハン「…………「様」は?」

ニョン「…失礼 蛇姫様……!!
  沖に“中枢の者達”の船が停泊しておりますな…
  ——あれはそなたを迎えに来た船とは違いますかニョ
  “中枢”より招集のかかった そなたを連れに来たニョじゃないか?」

ハン「——そうじゃ戦争の誘い…」

ニョン「なぜ行かれニュ!! お行きなされ!!
  参加しさえすれば協定は守られる そなた程ニョ実力があって
  よもや死ニュ様な事もあるまい」

ハン「……でも わらわ コワイ……」

恐がるハンコックにニョン婆は胸打たれる。

ニョン「はわわ!! まるで子犬…♡
  ———てやっとる場合か!!!」
「ニョン婆様…」
ニョン「今………この国は…………!!
  そなたの“七武海”という称号に守られておるニョじゃ
  一昔前までは“凪の帯”という強力な防御網が
  この島を外敵から守ってくれておった
  ——しかし今はどうじゃ “中枢の者達”は新しい造船技術によって
  この海を行き来できる様にニャってしもうた……
  そなたが“七武海”であるから 九蛇が海賊を生業としようとも
  彼らはこの島へ踏み込んで来ニュだけ
  称号を失いただニョ海賊国家に戻れば……惨劇を生みますぞ!!
  島には幼い者達も老いぼれもおります!!」

白酒を飲みながらハンコックはそれを聞いていた。

ハン「———そなたが恐いだけではないのか」

ニョン「……わしなどもういつ死んでもよい命…
  この水晶玉をよく見ニャされ…
  そなたの未来を照らしてくれよう」

持っていた水晶に手をかざす。
その水晶には「いきなされ」と出て来る。
それを見たハンコックは——

ハン「忌々しいっ!! 放り出せ!!」

「はい只今!!」
ニョン「待て!! 蛇姫!!」

ハン「そなた一体何様のつもりじゃ…
  そなたの時代はとうに終わったのじゃ…
  アマゾン・リリー 先々々代皇帝 グロリオーサ!!」

ニョン「…………!!」

ハンコックは立ち上がり
ニョン婆を見下ろす。
どんどん反り始めるハンコック——。

ハン「わらわの気まぐれで国が滅びようとも…
 みな許してくれる なぜなら…そうよ わらわが美しいから!!」

ニョン「出たわ!! 蛇姫様の人を見下しすぎのポーズ!!
  見下しすぎて逆に見上げてる!!」

そのポーズのまま喋り続ける。

ハン「——そなたはかつて皇帝の地位にありながら
  この国を捨て外海へ飛び出した九蛇の裏切り者!!
  ぬけぬけとこの国に舞い戻ったそなたを
  受け入れたのは先代皇帝の慈悲に他ならない」
ニョン「!」

ニョン婆の髪をつかんで持ち上げる。

ニョン「じゃから村の片隅でひっそりと暮らしておるわ!! いでで………!!」
ハン「——ならばそのまま暮らしておればよい……
  現皇帝のわらわに口出しするなど沙汰の限りじゃ!!」

ハンコックはニョン婆を持ち上げたまま歩いていく。

「蛇姫様!!!」

ハン「——とはいえ その熱意には感服せざるを得ない
  わらわの負けじゃ……!!」
ニョン「!!? わかってくれたか蛇姫
  ……ニョニ事も話してみるもニョじゃ!!
  ありがとう!! では言ってくれるニョじゃな!!?」
ハン「ウソじゃ調子にのるな 消え失せよ!!」

窓を割って外へと放り投げるハンコック。

ニョン「おおおおお!!! おのれ蛇姫ェエ」

「蛇姫様っ!!」
「ご老体に何て事!!!」

ハン「…………つい…♡」

「「あるある そんな時ありますよね♡」」

城から投げ飛ばされたニョン婆は
地面にキレイに着地を決める。

ニョン「ハイヤッ!!」
「ニョン婆様!?」
ニョン「老いさらばえても“九蛇の戦士”
  衰えてはおらニュわ!!!」
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