長編2(ブック)

□第百九話
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レイリー「そこからだ…ロジャーは世間から
  “海賊王”と呼ばれる様になった……
  何もずっと海賊王だったわけじゃない……
  死ぬゆく男に称号などなんの意味もない
  ——だがロジャーは喜んでいたな……
  何事もハデにやらかす事が大好きな男でね……宴もそう
  ……戦いもそう…己の先のない未来にも一計を案じ
  楽しんでいる様に見えた
  ———やがて「船長命令」により
  ロジャー海賊団は人知れず解散し……
  全員バラバラに……一人…また一人姿を消した
  共に命を懸けた仲間達は今やどこで何をしているか
  ほとんどわからない——そして解散から一年が過ぎた頃——
  ロジャーは自主し…逮捕され…あいつの生まれた町
  “東の海”のローグタウンで公開処刑が発表された
  あの日の広場には…今 海で名を挙げている海賊達の若き日の
  そうそうたる顔ぶれが並んでいたと聞く……
  海賊王の処刑に世界が注目していた
  ——私は行かなかったよ
  あいつの言った最後の言葉はこうだ…
  「おれは死なねェぜ……? 相棒…」
  世界政府も海軍も……驚いたろう
  他の海賊達への“見せしめ”の為行った公開処刑の場が
  ロジャーの死に際のたった一言で
  「大海賊時代」の幕開けの式典へと一変したのだからな…!!
  残り数秒わずかに灯った“命の火”を奴は世界に燃え広がる“業火”に変えた
  あの日ほど笑った夜はない……!!
  あの日ほど泣いた夜も……酒を飲んだ夜もない………!!
  我が船長ながら…見事な人生だった………!!」
シャッキ「…………」
『………』

みんながこの話を聞いて固唾をのんだ。

ナミ「なんかスゴイ話聞いちゃったみたい……
  当事者から聞くとまた別の話みたい」
ウソ「じゃあ…まるで この海賊時代は意図してロジャーが作ったみてェだな」
レイリー「……そこはまだ……答えかねる…
  ロジャーは死んだのだ 今の時代を作れるのは
  今を生きてる人間だけだよ………!!
  あの日 広場でロジャーから何かを受け取った者達が
  確かにいると思うがね……キミ達のよく知るシャンクスもその一人だろう」
ルフィ「え? おっさん シャンクス知ってんのか!?」
『……フンッ』
ルフィ「いってェ!!!」
『おっさんじゃないってば!!』
『まったくこの子は——…』
レイリー「“東の海”ならバギーという海賊も知らんか?」
「「バギー」」
レイリー「アレは二人共 ウチの船で見習いをやっていた」
ルフィ「え—————っ!! シャンクスは海賊王の船にいたのか!!?」
レイリー「何だ…聞いとらんのか……」
『自慢話をするような人じゃないわ 特にそういう話は——
 ルフィをおちょくって楽しんでたイメージ……』
レイリー「10年程前か…この島でばったりあいつと会ってな
  トレードマークの麦わら帽子と…左腕が失くなってた」
ルフィ「うっ」
『………』 

ルフィは食べていたものを詰まらせた。

レイリー「理由を聞くと嬉しそうにキミの事を話すんだ………!!」
ルフィ「?」

——レイリーさん おれァ本当に驚いたよ!!!
  “東の海”に……!!
  ロジャー船長と同じ事を言うガキがいたんだ…………!!
  船長のあの言葉を……!!————

レイリー「もちろんアリアの事も話していたよ
  あれはいい女になるって」
『余計なのよね…それ』
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