長編2(ブック)

□第百六話
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24番GR——

「ウルージ僧正!! ありゃあ………」
ウルージ「………“天竜人”か…無法地帯も構わず闊歩とは……
  厄介な種だ ヒザをついてやり過ごす以外になかろう」

目の前には——
奴隷の上に乗って自らは歩かず アイス片手に
女性奴隷二人と付き人をつけている天竜人が…。

「むふ———ん シャルリアもー お父上様もー
 わちしを置いて 一体どこへ行ったんだえ?」
「最終目的地はわかっておりますのでご安心ください」

この天竜人の名前は
チャルロス聖

先程ルフィ達が見かけた天竜人の家族らしい。

チャルロスは下にいる奴隷を蹴る。

「コノ!! おばえがカメみたいに歩くからだえ!!
 揺れも大きいし乗り心地最悪だえ こやつムカツクえ!!」

そんなチャルロスの目端に動く影が——

「? おい おばえら ちょっと待てえ!!
 何で動く? 人間なのに!!」

「……す すいません どうか見逃して下さい!!
 出血のひどい急患で!! 一刻を争うのです
 病院は目の前に」

チャルロスは近寄って急患人を見る。

「ホントだ これはイカンえ………じゃあ 一刻も早く
 楽になれ!!!」
「わああっ!! おやめにっ!!」

急患人を蹴り飛ばすチャルロス。

この光景に目を背ける町の人々。

ウルージ「おーおー 好き勝手やりなさる……!!」

「わちしへの礼儀と下々民の命 どっちが大事かえ?」
「天竜人あっての下々の命でございます」
「ん?」

チャルロスは急患人の世話をしていたナースに目を向ける。

「……………よし 妻にしてやるえ」
「……え!?」
「——では“第13夫人”として聖地へお迎えする手続きを…」
「あァ…1番から5番の妻はもう飽きたから下々民に戻すぞえ」
「待って下さい 私……!!」

すると一人の男が立ち上がった。

「ちょっとお待ち下さい!! 彼女は私の婚約者で……!!」

だがこれにチャルロスは

「またわちしの前で立ち上がる………!!」

銃を向けて撃ったのだ。

「キャ〜〜〜〜〜!!」

ナースの女性は天竜人の付き人によって囲われていた。

男は倒れ伏しながら彼女の名前を呼んでいた。

「マリィ…………!!」

「人殺し!!……何て事……!!
 誰か!! 彼を助けて下さい!!」

ウルージ「メチャクチャだ……噂以上……」

「……何だ わちしに文句を言ってるのかえ?」
「…………!!」
「先に港に連れて行け」
「はっ」
「……放して下さい!! お願い……!!
 だれかあの人を助けて!!」

女性は連れて行かれてしまう。

だがそれよりも町にいた人はざわついていた。
それは——
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