彼岸を満喫

□8地獄で運動会
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「明後日と明々後日、地獄で運動会の救護班任されてるんだけど2人とも来れる?」

最低1人はついてきて欲しいんだけど、と白澤様は言う。



真昼間。桃源郷は今日もうららか。
私は薬草の小籠を、桃太郎さんは仙桃の入った籠を置きながら話を聞いた。

「ええと配達は」

「今日明日行けば大丈夫そうです。
俺気になるんで行きますよ。雪さんはどうです?」






「...コレ毎年やってるんスか?」

「やってるね。でも今年が変なんだよ」

白澤様は興味なさげに椅子に座って反り返って遊んでる。
結局3人とも参加で兎さんも5匹ほどついてきてくれている。


「玉入れの玉がなんか泥団子ッスよ......」

「アイツ何考えてんだろうね」

『ちなみにその玉はスカラベ(フンコロガシ)さんが作ってくれました』

アナウンスの鬼灯の声に玉入れ参加者たちから悲鳴が上がる。鬼灯は白いはちまきをしている。丁の頃を思い出してかわいいなと思った。
プログラム表を読み返す。借り物競走、ワンワンパニックに組体操、エクソシスト徒競走...普通の運動会がどんなものかわからないが始めのアナウンスで鬼灯は全体を通して精神的負担を伴いますとか恐ろしいことを言ってた。うん、救護班でよかった。

「今日はリハだけど本番はもっと長いみたいだから僕らもお弁当持って来なくちゃね。
薬箱ももう少し増やしてこようか」

「それでは私、お弁当作りますね」

「いえ、俺が全部やっておきます。雪さんは薬箱の方を頼めますか」

「ああうん、雪ちゃんはそっちの方が向いてるよ」

焦ったように桃太郎さんたちに言われてしまった。白澤様は私に苦笑いして、いきなりすっと真顔になった。

呼ばれて膝下までくると白澤様の手が私の首筋に触れる。


「......溜まってる」

しばらく黙って、ぼそりと言われた言葉に白澤様を見る。あんまりこっちに来ない方がいいかもねと言われてしまった。

こっち。地獄でしょうか
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