□迷子の案内人
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――間違ってる。
――おかしいんだ。
――こんなの、ありえない。



何度も頭の中で繰り返した言葉。
何度も繰り返した叫び。


――だってありえねぇだろ。
――バトルロワイアルなんて。


合宿だった。バスの中で馬鹿騒ぎして、岳人と慈朗が跡部に怒られて、俺は長太郎とそれ見て笑って、それから全員でトランプして、いきなり眠たくなって、

気づいたら、ここにいた。


「くそっ‥‥‥」


分校を出てからずっと走っている。足がすりむけても、止まらない。

走る。
走る。
走る。


どこかで聞こえる銃声も、遠くで響く叫び声も、風の音で消してしまいたかった。


「宍戸!!」


呼ばれて、振り返る。
森の中の暗闇で、見慣れた赤がひょこんとのぞいた。


「岳人!」

「わっ!馬鹿!大声出すな!」


そう言いながら笑う岳人は、バスの中と変わらない。俺と同じバッグを持って、やっぱり一人だった。


「他の奴らは?」

「来いよ。全員集まってるんだ。お前を捜してたんだぜ?」


小さく手招きして歩き出す岳人。その仕草も変わらない。
さっき別れたばかりだけど、すごく久しぶりに会った感じで、涙が出そうになった。
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