もしもの話、すきまの話
□【未】おねえさま
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ふんわりと微笑んだ顔がとても優しげで、小春を本当に大切に想っているのだろうと想像がつく。
『……一色さん』
「ああ……一色でいいよ。今更だけど敬語もいらないし…」
『…じゃあ、一色』
「うんうん。
なんだい?お義姉様♪」
…なんだか意味合いが違う気がしたが、あまり気にしないでおこう。
『こんなことを私が言うのは可笑しいんだろうけど…
でも、ありがとう。
あの子を好きでいてくれて』
想定外の事だったのか、キョトンとした表情に、クスリと笑みがこぼれた。
『さて、鈴の手伝いでもしてくるかな』
スッと立ち上がってその場を離れる名前。
「……え」
『ああ、それと』
一色が何か言おうとしていたが、それを遮って名前が続ける。
『外堀は簡単には埋められないよ?』
「!」
『けど…まあ、楽しみにしてる』
そう言って名前はいなくなったが、一色は暫くキョトンとしたまま動かなかった。
「………
なんだ、バレてたんだ…
……ふふ、楽しみ、か…」
緩やかな風が、一色の金髪を撫でていく。
「……ご期待に答えてあげるよ、お義姉様……」
なんとしてでも、ね…
妖しく笑む彼が思い浮かべるのは、愛しい愛しい女の子。
「………小春」
君の為なら、俺はなんだってするよ…?