干支の足跡

□10,おやすみ
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家に入った名前は、さっそく大きめのボストンバッグに衣類や生活必需品を詰めていく


『うーん……
向こうで買える物は持っていかない方がいいか……

あ、食材…』


食べ物を粗末にするのは駄目だ。

そう思ってバッグに一緒に詰めると、結構な重さになってしまった


『篠、お待たせ』

篠「……む………準備が出来たか?」


人を駄目にするソファーに座っていた篠。どことなく、いつもより反応が遅い気がして、なんだか微笑ましい



篠「意外と荷物があるんだのぅ」

『まあ、暫くは神社で生活するだろうし、食材がね……』

篠「ふむ……」



……ん?意外とって何だ?
私が荷物も女子力もない女だと思ったのか…?

そう考えていると、篠が手を差し出してきた


『?』


ポン、と、犬がお手をするように篠の手に手を重ねてじっとしていると、篠が違う…と、若干笑いながら呟いた

首を傾げて指を動かすと、篠の手の上にある無機質なものに気がつく


『……鍵?』


ボストンバッグを床に置き、両手で持ってまじまじと眺める

篠「うむ…。私のマンションの鍵だ」

『…………

えっ!?鍵!?な、なんで?!』

篠「…何故……?
私の家から通勤するのだから、今後の出入りに必要になるだろう……?」

『……あ、
そ、そっか、そうだよね………
あ、ありがとう…』

篠「うむ……お主、疲れているのか?」

『う、ううん…大丈夫…
(…改めて言われるとなんだか恥ずかしいな……


いや、なんで恥ずかしがるんだ。篠の家の方が職場から近いから、篠が気を使ってくれただけだよ。ただそれだけ。うん。それだけであって別に他の意味なんてない…ないない!!)』


 
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