もしもの話、すきまの話
□【亥】冷蔵庫
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篠が出ていってからいつの間にかソファーで寝ていた名前
どうやら3時間ほどたっているらしい
のそのそと起き上がり、喉が乾いたので冷蔵庫をあけると、今日の朝、コンビニに買いに行こうとしていた苺のスイーツが入っていた
『…
篠って、甘いものそこまで好きじゃなかったよね?』
生クリームをたっぷりと使用し、見るからに甘そうなこのスイーツを篠が食べるとは思えない
…だとすると、これは名前の為に買ったものだろう
コンビニで買い物をしている篠
しかも、わざわざ名前の為に自分の苦手なスイーツを買っている姿を想像すると、思わず笑みがこぼれる
『似合わないなぁ…
店員もビックリだよ…』
冷蔵庫には烏龍茶があったが、これは温かいお茶が飲みたい…
あまり使われた形跡のないキッチンのケトルでお湯を沸かし、その間に急須や湯呑みを用意する
『あっ!
…そういえば、茶葉きらしてたんだった…』
篠はキッチンを使わないので、棚には名前がこの家に来たときに使うものだけが並んでいる
茶葉なども、名前が買ったものしかないのだ
お茶を諦めようとした名前は、茶葉のある棚に見知らぬ小さな木の箱が置いてあるのを見つけた
箱の上には、篠の字で書かれたメモがあった
"名前へ
茶葉を貰ったから、お主にやろう"
開けてみると、なんともお高そうな茶葉が入っている
『京都の玉露……!!』