干支の足跡

□14,分かってくれたみたいで
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小春「紫苑!!」

紫苑「やあ……
霞ヶ浦ではすまなかったね……」


涼しげにそう言ってのける紫苑に、右京が珍しく苛ついた声を出した


右京「出たなこの嘘つき野郎……
よくも春乃が生きてる事を俺達に隠してやがったね……?」

紫苑「…ん……君は……
…そうだね……。確かに嘘つきと言われても仕方がないね……
……君の言う通り、春乃は今も生きている…
千年以上前からずっと、ね……」


燐「なっ!!マジかよ!!マジで生きてるのかよ!!」

『……』

篠「……
やはりそうか……
…それで春乃は……あの壁画の中に居るのか?」


篠は少しだけ表情を暗くして問う。

既に答えは出ているが、それは出来れば信じたくは無いものだった


『(だってこの考えが正しければ、春乃はずっとあの場所で……)』


紫苑「ああ……そうだよ……」



しかし、紫苑は否定してはくれなかった


紫苑「だから君達はあの時……壁画に触れたときに春乃と意思疎通が出来たんだ……
結界越しで互いの霊力しか伝わらなかっただろうけど……

君達はあの時、本当に春乃と会話をしていたよ」



篠「……そうか……

……それでは、生きていることを素直に喜ぶべきではないな」

燐「あん?どういう事だよ?
喜ばしい事じゃねぇか?」


篠の言葉に疑問を抱いた燐は素直にそう聞いたが、篠が答える前に紫苑が口を開く


紫苑「篠……君は理解しているだろ?
この話の残酷さを……」

篠「まぁな……予想もしておったよ……
……話が残酷過ぎて、あまり考えたくなかったがな……」

小春「ご、ごめん、篠……
イマイチ理解出来ないんだけど……残酷ってどういう……」

凪「そうだよ。
勝手に二人で話を進めないでくれる?」

篠「…春乃はずっと、あの壁画の結界の中で鬼を封印し続けているという事だ……


我々が居なくなった後も……千年以上ずっとな……」



小春「…………え?」
 
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