干支の足跡

□7,無事で良かった
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『……で、でも、何でいきなりこんな事に?』

篠「…分からぬ」


暫くして、恥ずかしさに耐えられなくなった名前が、グッと力を込めて身体を離して現在の状況を尋ねる

どうやら篠が住むマンションは完全に瘴気で覆われており、名前の安否を確認しに来てくれたらしい


篠「……ここに来る途中、川から鬼が湧いて出ているのを見た」

『鬼が、湧く…?』


確かに、瘴気を発見したあの場所の近くには川があった

しかし、一体何故、川から鬼が…?


篠「原因は分からぬが…
……この瘴気に満ちた場所に、私は心当りがある…」



『……琵琶湖の…洞窟…?』


篠「ああ……


紫沢村だ……」



『…篠』

篠「……」

『行こう。紫沢村に』


今までは、篠の言う通り、紫沢村には近づかないようにしていた。
だが、今回は訳が違う。駄目だと言われても、引き下がる気はない


篠「……
あそこは危険だ」

『……』

篠「………だが…
お主はここで待っておれ、と……そうも言える状況ではない、か……」

『じゃあ…!』

篠「そのかわり、一つ約束せい」

『約束…?』


篠がまっすぐに名前を見つめる



篠「私の側から離れるな」


よいな?
そう続けた篠に、名前はしっかりと頷いた


 


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