干支の足跡

□6,近づくな
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篠「ふむ…。
ここが久遠のいる神社か…」

『うん、そうだよ』

篠「確かに、この霊力は間違いなさそうだのう」


名前は鳥居をくぐる篠の後に続く


今日は篠の家で琵琶湖での話を聞けるのだと思っていたのだが、迎えに来た篠が向かったのは自宅ではなく、茨城だった

どうやら小春達も近いうちに此処に来るようで、その前に久遠に接触しておきたいそうだ


篠「それにしても、この地は鬼が多いな…。東京も負けてはおらんが………
お主、本当に怪我などはしていないのだな?」

『大丈夫だよ。
最後の方は久遠が送り迎えまでしてくれたし』

篠「…ほう……」

『そのかわり、鬼退治に付き合わされたけどね。
でも、それにしても多いよね……
久遠はほぼ毎日、鬼退治してるっていうのに…』

篠「……ほほう……」


今も神社に来る途中、何度か鬼に襲われた

以前も気になっていたが、鬼が多くいるせいで農作物の実りが悪い

退治しても何処からか湧いてくるのか、一向に改善されている気配がないのだ



『…久遠も怪我とかしてないといいけど……』

篠「……
……なあ、お主…」


「あの…」


篠が何か言おうとしたのと同時に、前方から声をかけられる



「ええと、椿さん……ですよね?」

『…はい、そうです。藤岡さん、でしたよね?』


ええ、と人の良さそうな笑顔を向ける藤岡さんに、篠を紹介する


「ああ……
久遠君に人が会いに来るとは伺っています。
椿さんの知り合いの方だったんですね」


どうぞ…と、そのまま神社の中を案内される



「椿さんが来てくれたと知ったら、久遠君も喜びます」

『あはは、そんな事ないですよ』


長い廊下を進み、いくつもある部屋の一室に通される


「今、久遠君を呼んでくるので、少し待っていてくださいね」


スッと扉が閉まり、部屋は名前と篠の二人だけになった



 
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