短編集

□久しぶり
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1人の親友がいた。

親友とは会うたびに「だーれだ」と言い合って名前を呼んで笑いあった。

ところがある日親友はいなくなってしまった。

親友の家族は殺されていた。

よりにもよって私の方は家族と旅行に行っていた時にその事件は起きた。

現場である親友の家の庭で家族のものとみられる血液や髪の毛などがあった。

親友の家や庭はボロボロに崩れきっていた。

警察は敵による犯行だと断定した。

しかし1つだけ不用意な点がある。

親友の血液などが一切見つからない。

他の家族は全員、血液か身につけていたものか体の一部を何らかの形で残して死んだ。

親友だけそれがないのだ。

敵に連れ去られたか?

現場では家族以外の足跡は見つからない。

親友だけ跡形も残さず殺された?

ならなぜ他の家族だけ証拠が残る形で殺したんだ?

未だにそれは不明である。


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二十歳になり就職。

平凡な会社だ。

特に刺激もない毎日。

憂鬱な出勤。

人混みの交差点。


『?』


視界が暗転した。

目に何か被さってる。


「だーれだ」


聴いたことあるトーン。

私に会うたびにしてくれた合図。


『て……転弧……?』

「違う……弔……これからは弔って呼んで。」


外された両手。

視線があう。

見た目は変わったでも。

どことなく漂う懐かしさ。












「久しぶり」

























おかえり親友。


 

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