お側に居させてください。

□3話
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「じゃあ全員で、作戦会議だ…… 任せたぞ、ジャーファル!」

 シンドバッド達が宿泊している部屋に案内され、備え付けのソファーにアラジン、シンドバッド、マスルール、モルジアナ。アラジンが座っている隣に手を後ろに組んで立っている蛇結とその5人に向かい合うようにジャーファルが立ち、霧の団について説明し始めた。

「一つ。彼らが動くのは霧深い夜。バルバットは霧の街です。海からの風が丘にぶつかりよく霧が発生します。彼らはその霧に乗じてやってくる。二つ。彼らの狙いは、国の倉庫や金持ちの屋敷。十数人の小ユニットで動き、多くても百人未満で、金品・食料・武器を奪い去っていきます。そして三つ目、気がかりなことに… 彼らは毎回警備の裏をかき、国軍の手が薄い所を狙います。内部からの情報が漏れている可能性が高いです。」
「……」
「さらに厄介なことに、市民の多くが彼らに協力的です。街に逃げ込まれたら見つけられません。」
「〈盗賊〉なのに、街の人が協力するの?」


 ジャーファルが説明していく中アラジンが質問をする。
その質問にジャーファルも丁寧に答えていく中、アラジン達が尤も気にしている「怪傑アリババ」の名前も出、動揺が出てしまう。
そんな中、モルジアナがシンドバッドの方を向いて口を開く。

「あの…国民が支持している人を…捕まえてしまうことは正しいのでしょうか…?」
「……。 …”俺は”正しいと思っている。〈霧の団〉は義賊と呼ばれる。まあ”義”のために動く盗賊って事だ。そして実際に彼らは国庫から奪った金を市民にばらまき支持を得ている。 だが俺は考える。それは盗賊行為を正当化するための行動では?…とかね。…まあ、そんな具合に俺は自分で、自分の頭で考えて、正しいと思える答えを出した。」

 部屋中にシンドバッドの凜とした堂々たる声が響く。
皆が聞き入る中、ソファに座っていたシンドバッドが立ち上がり、5人を見据えた。

「君たちも考えて自分で決めてくれ。何がいいのか精一杯考え抜いて、自分たちの導き出した答えを信じて行動して欲しい。 俺はそうやって道を切り開いてきたが……君たちはどうだろうか?」
「僕も考えてみるよ。」
「…私も。」
「…そうしましょう。」
「よし。」




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