お側に居させてください。

□1話
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「どうお礼を言って良いやら…本当に感謝しております…!」

  パチンと軽い音が弾け片方の拳を手のひらに押しつけグッと深く頭を下げる女。さらりと深緑の髪が揺れた。
そんな彼女の姿に隊商の男達は笑う。

「んなカタッ苦しいのやめてくれや嬢ちゃん。お互い様だろ?」
「それにしても蛇結おねえさん強かったね〜!」

青髪の小さな少年が興奮気味に言う。それに男達は便乗した。

「そうそう!逆に俺たちがこんなん乗せてやるだけのが礼にはほど遠いだろうよ」
「そのようなことはございません!隊商に乗せていただかなければ自分はきっと砂漠のど真ん中でいつかは干からびていたでしょう…。それに困った者を助けるのは当然であります。」
「かぁー!いいねぇ、感動しちまうよ!好きなだけ乗ってな!」
「嗚呼!なんてお優しい…!どうかよろしくお願い致します。」
「おうよ!」

 隊商の車に揺られながら進む中、青髪の少年――名をアラジンという――はクイクイ、と女の服を引っ張った。
彼女は少年の方を見る…といっても顔は長い前髪に隠れ表情はうかがえないが。

「蛇結おねえさんはこれからどこへ向かうんだい?」
「……自分は、っ!?」
「なっ、なんだぁ!?」

 ガラガラと外から嫌な音が響き上を向けば大きな岩が降ってくる。蛇結は驚きながらも傍に居たアラジンを引き寄せ怪我をさせまいと強く抱き締めたが強い衝撃に気を失った。
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