金カム

□涙に誓う
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 日用品の買い出しや出先での余暇活動は、仕事が早く終わった日と決めている。世間的にはまだまだ若いと言われる年齢であっても、会社での人間関係や仕事に忙殺されて休日に出かける気力など残ってはいないからだ。幸いなことに自宅と職場が近いため夕方でも日の高い時間に出れば寄り道しても暗くなる前に帰宅できる。この帰りの寄り道が私にとって数少ない趣味のようなものになっていた。


 その日は比較的早く業務が終わり、解放感に包まれて会社を出た。疲労はあったがこのまま真っ直ぐ帰るのも勿体ないと感じ、冷蔵庫の中身を思い出してみる。先日買い足したばかりで今朝も覗いたそこは十二分に満ちており、私の購買意欲は一瞬にして削がれた。それならば、いつか買うかもしれない服や靴に目星をつけに行くのもいいだろうと思い、爪先を街の賑やかな方角へと向けた。


 宛てもなく店先をぶらぶらと歩き、たまに心ときめく出会いをするとだんだんと気分が高揚してきた。だからかもしれない、普段は気にも留めない店が目に入ったのは。
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