伊東さんとの日々

□はじまり
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ヤマト乗組を命じられ、同期の星名君と共に乗り込む。目的はイズモ計画派推進派の反乱の阻止。まさかこんな大事なことを言い渡されるなんて思ってもいなく、保安部に配属された今でも実感が湧いていない。星名君には無理はするなと言われているけれど。そんなポワポワとした日が続いたある日、私はハッと目を覚ます。どうやら居眠りをしていたらしい。大体の人はもう上がっているらしく室内にいるのは私だけで時間は9時を回っていた。急いで残っている仕事をやろうとしたらもう終わっていた。

「よく眠っていましたね」

『わわっ?!』

聞き覚えのある声に、私は思わず悲鳴をあげる。私の隣の席は和田さんだけれど、なんと伊東保安部長だった。

「仕事、ちゃんと終わっているみたいですね」

『で、でも仕事中に居眠りして申し訳ありません!』

慌てて私は立ち上がり頭を下げる。同時に何かパサリ、と床に落ちる音が聞こえそれを見ると保安部の上着。よく見ると伊東保安部長の上の服装が黒のタートルネックのみになっていた。何か温かいような気もしていたけれどもしかしてこの人は寝ている私に上着をかけてくれていたのだろうか。そう思うと尚更申し訳なくなり、せかせかと上着を拾い上げホコリを払う。

『申し訳ありません!』

「面白い人ですねえ。やることやっていれば問題ないです」

『で、でもそれなら何故隣にいてくれたんですか……?』

聞くつもりなんてなかったけれどつい聞いてしまった。だってこの人には部下想いとかそういうのには欠けていそうだから。

「なんででしょうね。自分でも分かりません。そろそろ内海と星名が交代で来てくれるはずです。明日に備えてください」

はぐらかされてしまった。私も深く入り込むつもりは無いのでしつこくは聞かなかった。

『伊東保安部長はまだここにおられるんですか?』

「二人が来たら仮眠に入るつもりです」

内海さんは確か、村雨艦にいた頃からの付き合いらしい。彼もまたイズモ計画推進派の一人ということも聞いた。時が来たら私は二人を撃つことになるのだろうか。出来ればそうならないでほしいけれど。

『部長も無理なさらないでくださいね。上着、ありがとうございました』

この人は掴み所のない人だ。星名君はともかく、私がスパイとバレるのも時間の問題かもしれない。それでも、上着を掛けてくれたり、起きるまでそばに居てくれたり、それは嬉しかった。嬉しかったからこそなのか、心が切なさでキュッと締め付けられるのを感じながら私は部屋を後にした。


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