学園一の秀才と学園のマドンナ

□1章
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今の時間は体育。勉強でも皆にわかりやすく教え、皆に好印象を与えていた。昨日聞いた会話だって……

『アリスさんていいよな!美人で気配りも出来て……』
『本当に!俺達の名前を覚えていてくれたんだぜ?先生にすら俺の存在を忘れられてたのに』
『あぁ!そうだよな!』

当然よね〜!何せ、ここの学園の生徒の名前は全部頭の中に入ってるもの。暗記は得意な方だし。

「次!アリスさん!」
「はーい」

今はスポーツテスト。今からハンドボール投げだ。私の偉大さを見せるべきね。そしたら皆私をすごーい!と言うでしょう。僻む人も出てくるでしょう。でも、そんなの中学で経験済みだから。

そう思いながらボールを投げる。遠くに飛んでゆくボールを見つめ、静かに笑みを零す。

「新記録〜!27m!」

先生がそう言うと女子達もすごーい!と言って駆け寄ってくる。でも、私にはわかる。純粋にすごーい!と言っている人もいれば私のご機嫌をとるために笑顔を貼り付け絶賛を送っていることに。それを見なかった事にして私も作り笑いをする。作り笑いなんて慣れているから。


「ありがとう!でも、私なんて───」

たいしたことない、と言おうとした直後また先生が興奮した顔で言った。

「新記録ー!!32m!」

…は?思わず振り向いた。だってこんなに早く新記録を抜かれるなんて思ってなくて……ちょっと待て。何で皆あっちに行くの?輪がどんどん崩れてゆく。ねぇ…ちょっと…!!


「…すごーい!アリスさんの記録抜いちゃうなんて……!レミリアすごーい!」
「本当に!」
「えへへ」


ああ、モノクロにしたい。赤に塗り潰してしまいたい。こんなの中学ではなかった。僻む物はいたけど──こんな結果になるなんて思っても見なくて。ただ、私は地面を睨む事しか出来なかった。

「……なら…」

勉強では一位の座を獲得する。運動はその次よ!
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