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□恋
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(英二は可愛い)
そう気付いたのは、いつだっただろうか。黒髪、中肉中背。オレより二つ年上。童顔。時々コッチがびっくりするようなことをしてくれる。何度か肌を重ねるようになってか、(オレが!)(あれ程男との行為を嫌悪していた、このオレが!)気付くと昨日、行為の最中、英二のちょっとした仕草‐感じ過ぎるといやいやするように首を振ることとか‐を思い出して、くすりとしてる自分が何か信じられない。「ボス!」「あ?」アッシュにしては間の抜けた声を出すと、アレックスが「コーヒーこぼしてますぜ!」「ん?うん、うわっあっちっち!」ダバダバと飲んだつもりで、自分のシャツに飲ませていた液体の熱さに飛び上がる。「アッシュ!」アレックスの声に気付いた英二が突差にカップをキャッチして、アッシュの白シャツに手をかける。昨日自分が英二のシャツを脱がせてやったように。「何でお前はオレのシャツを脱がせようとする!」「え?」幾分呆気にとられたような英二が、「なんでって…熱いだろ、そのシャツ」シャツ…と言った辺りから、英二と目が合っ
て、そのくるんとした童顔にぴったりの大きめの目が無防備に見つめてくる。シャツ…シャツ…意味もなく英二の声がリフレインされ、アッシュはまたハッと現実に戻る。英二の目をもっと、ジッと見つめていたかった。「…いい。シャツ位自分で脱げる」やっとの思いで視線をそらし、自分のミスをごまかすようにシャツを脱ぐ。「あーやっぱり赤くなってる〜」英二がタオル片手に軟膏を手にやってくる。(や、やめろ!お前、そのタオルと軟膏でオレに何をする気だ!)声にならない叫びを抑えるのが精一杯で、テキパキとコーヒーの後を拭い、その手で軟膏を赤くなった後に塗ってゆく。タオル…英二の自由を奪い、両手首を縛るのに、ちょうどいい。(あれはオレもよくやられた…!くそ、そんなに興奮するものなのか)軟膏もよく塗られた。すべりをよくするために…それで英二の負担が減るなら…完全にアッチの世界にいっちゃってるアッシュ。自分の前にかがみ込み、あーあ、珍しいね、アッシュがボーッとするなんて…という英二が何のためにいるのかすら
頭の中で考えが溶かされ、ただ(抱きしめたい)という思いと、何がいけない?という思いが天使と悪魔のように戦っているアッシュの手がそっと伸ばされた時、さっと英二が立ち去る。「新しいシャツと」(っぶねー…)こちらを見るアレックスたちの視線など完全に忘れていた。そんなアレックスがコングにこそっと、「なんかボス、おかしかねーか?」「そうか?いつものボスじゃねぇか?」新しいシャツを片手にニコニコと戻ってくる英二に再び視界を奪われるアッシュ。この苦労は当分続きそうだ…
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