Long Story
□第2話
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講義を終えた俺は今日は何を作ろうかと考えながらスーパー内を歩き回る。
この前来た時はハンバーグだったからな…
「今日はオムライスにするか。」
メニューを決めたら卵など必要なものを購入して店を出る
アパートの近くまでやってくると
「あ、」
ちょうどアパートの入口が開き女性が1人でてきた
初めて会った時と変わらない重たそうな髪型で服装もいつも薄着でちゃんとご飯を食べているのか心配になるような細い体をしている。
「こんにちは、橋本さん。」
「こんちには…では。」
そう、出てきたのは隣の部屋に住んでいる橋本奈々未だった。
彼女と知り合って1年以上たっているが未だに簡単な立ち話をしたこともない。
いつも挨拶を交わして橋本さんがどこかへ行ってしまうからだ。
まぁ人と関わるのが嫌いな人もいるしそこまで気にしてはいないのだがもう少し愛想がよくてもいい気がする。
同じ教育学部なのだから話すネタもありそうなものなのに。
「ただいまー。」
部屋の前まで来た俺はそのまま自分の部屋に入らず隣の部屋の七瀬の部屋を開けてはいる。
「あ!おかえりー!今日は何作るん?」
「オムライスにするつもりー」
俺と七瀬は行動を共にすることが多く遠くに出かける時はいつも七瀬と一緒だ。
知っての通り隣の部屋ってこともあってよくお互いの部屋を行き来している。
こうして見ると彼氏彼女のような関係に見えるかもしれないが付き合ってはいない。
俺はこの距離感が気持ちいいし七瀬自身も今の関係で満足しているように見えるからお互いにそれ以上の感情を抱くことはないだろう。
「やった!オムライスや!久しぶりやなー!」
「じゃあ作るから机だけ準備とかしといてー。」
「わかったー!」
上機嫌に用意を始めた七瀬を見て俺もキッチンへ向かう。
もうどこにどんな調味料があるか完全に把握し切ったキッチンにたつと東京生活が始まってかなりの時間がたったんだなと実感する。
「そう言えば瑛人合同ゼミ何組になった?」
「あー俺は46組だったかな?」
「最悪や…なな48組なんやけど…」
「まぁまぁこんなに人数いるんだからそう簡単に同じ組にはならないだろ。」
俺たちの大学は合同ゼミと言われるものがあり各学部の人たちがどんなことを学んでいるのかの共有や他学部との交流を主な目的としている。
「なな瑛人がおらんと絶対上手くやれんもん!」
「そんなこと言わずに頑張れって。ほら出来たぞー」
俺は七瀬を宥めながら出来上がったオムライスを机に運ぶ。
俺はオムライスはトロトロでもふわふわでもどちらでも作れるけど七瀬はふわふわのオムライスが好きなので二人で食べる時はいつもふわふわのオムライスを作っている。
「んー!やっぱり瑛人の料理はいつ食べても美味しいな!」
自分の料理をこんなに美味しそうに食べてくれるのだ。
多少手間をかけても美味しく食べてくれるなら俺も満足だ。
そんなことを考えながら俺もオムライスを口に運んだ。