Long Story
□第2話
3ページ/4ページ
「時に愛は二人を試してるbecause I love you…」
現在の時刻は23時を回ったくらいと言ったところか。
生田さんの熱唱を聴きながら俺はまた小さくため息をついた。
その日のバイトを終えた俺は挨拶もそこそこに帰宅しようとすると
「あ!瑛人くーん!新内さんのところのカラオケの10番室予約しといたからみんなと行ってきてねー。」
「…はい?」
「ほら、みんなと親睦深めるためにもさ!」
…うそだろ
当然このまま帰るつもりだった俺は必死の抵抗を見せるが店長に逆らえるはずもなく、ほか3人、特に生田さんが乗り気だったので仕方なくついていくことにした。
「退屈なイルミネーション、ざわめく都会のノイズ…」
いまは中元さんが歌っている。
来てみて気がついたがこの2人は結構歌が上手い。
堀さんは…なんというか、下手ではないけどどちらかと言うと面白かい。
「瑛人さんも歌いましょうよ!」
「いや、俺はいいよ。」
「そんなこと言わずに!せっかくみんな出来たんだから、1曲だけでも!」
まわりをみると中元さんも堀さんもこちらを見ている。
…逃げ場なしか、
「じゃあ1曲だけ。」
「やったー!」
曲を入れて待機する。
「何歌うんですか?」
「まぁもうはじまるからお楽しみで。」
えー、と頬を膨らます生田さんにひとつ微笑んで俺はマイクを持つを
俺が選んだ曲は俺が一番好きなアーティスト、家入レオの「僕たちの未来」
はじめて聴いたのは去年の受験シーズン。
何気なく聴いたこの1曲が今ではいつも俺の背中を押してくれている。
それから取り憑かれたように彼女のファンになった。
「僕はどこへ向かうんだい、星にそっと聞いたんだ…」
生田side
楽しい!
今日はこの一言につきる!
バイト初日でどんな人と一緒に働くのかドキドキしていたけど瑛人さんはすごく丁寧に教えてくれるし、入学して仲良くなったひめたんも一緒にバイト始めたから安心。
そのあと店長のご好意で4人でカラオケに来たんだけど歌うことが大好きな私は夢中でどんどん歌っていて瑛人さんが全然歌ってないことに気づいて
「瑛人も歌いましょうよ!!」
と、いって歌ってもらえることになった。
曲名は…「僕たちの未来」?
歌手の人は知っているけどあんまりその人について詳しくない私はワクワクしながら画面を見つめた。
「世界中の名もなき光、繋がっている、星座のように…」
…すごい
圧巻だった、歌詞も曲調もすごいけど何より瑛人さんがすごかった。
こう…ああ!上手く言えないけど心に訴えかけてくるものがあった。
「君と辿り着くその先へ僕たちの未来」
瑛人さんしかいない!
そう思った私はひめたんと目を合わせて軽く頷きあった。
「ふぅ…どうだった?」
「瑛人さん!」
「な、なに?」
「私とひめたんと一緒にバンドをやりましょう!」