攻略対象

□D
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「今日が入部届提出の締切日だからなー。
顧問に早めに提出しろよ。
それじゃ、HR終了!1限目の用意を速やかに行うように。」

HRで、担任が生徒に呼びかける。
「はーい」と間延びしたクラスメイトの返事を聞きながら、ふたばはファイルに挟まれた入部届を見る。

「う〜ん…」


ふたばは頭を抱えてうなった。


「ふたばちゃん、おはよう!
…って、大丈夫!?もしかして、部活決まってない?」


ふたばが困ったように入部届を睨んでいると、アキが話しかけて来てくれた。


「ううん!入りたい部活はもう決まってるんだけど……」


部活関係で悩んでいるのは確かなのだが、入りたい部活が決まっていない訳では無いのだ。


大川の言葉や乗馬体験、栄やアキがいるということもあり、ふたばは馬術部へ入部することを希望しているのだ。


しかし、ある心配事がひとつあったのだ。



「私、馬術部に入りたいなって思ってるんだよね…」

「ほんと!?やった、ふたばちゃんが入ってくれるなんて嬉しい!」

「ふふ、ありがとう!
…でも、私みたいな乗馬経験が全く無い人が入部していいのかなぁって不安になっちゃって…」


心配事というのはこれなのだ。
ふたばは引馬を除いた乗馬経験が皆無で、自分一人では馬を歩かせてやることも出来ない。


そんな私がここに入部して良いのだろうか、重荷になってしまうのではないか。

そんな不安が頭をよぎって、入部届の提出を躊躇していたのだ。

「何言ってるの、ふたばちゃん!
誰だって最初はみんな初心者なんだよ?
それに、栄ちゃんも八軒くんも馬術未経験者なの。でも馬術部に入部するんだから、大丈夫だよ!」



悩んでいたふたばにアキが言う。


「そっか…!ありがとう、アキちゃん!」




アキの言葉に背中を押され、部活顧問に入部届を提出した。
入部の手続きも完了し、ふたばは一息ついた。
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