テニスのキング様

□両想い
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「だ、だから…」

母親も小股だが一歩俺様に近付いてきた。…だが、その肩を父親が掴む。そして今度は睨むのでなく、ジッと俺様を見極めている。

「もしかして、君は…。いえ、貴方は」

父親の急な態度の変わりように、母親は困惑しながら場を眺めている。

父親はスッと息を吸い、口を開く。

「貴方はもしかして跡部財閥の息子さんじゃ…」

「アーン?知っていたのか」

「知っているも何もうちの会社の取引先だよ」

父親は顔を真っ青にしながら頭をグッと下げている。そして母親も父親に続いて事の重大性に気付いたのか、妙にワタワタとしながら頭を下げた。

なるほど。根津の性格は母親似か…。顔立ちは父親似のようだな。

俺様は頭の片隅でそんなことを考えながら、両親の言葉を待つ。

「先程は大変申し訳ありませんでした。まさか、跡部財閥の息子さんだとは思わず…」

「いや、別に気にはしてねーが。とりあえずは根津の退学は取り消してもらう」
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