テニスのキング様
□両想い
2ページ/6ページ
「だ、だから…」
母親も小股だが一歩俺様に近付いてきた。…だが、その肩を父親が掴む。そして今度は睨むのでなく、ジッと俺様を見極めている。
「もしかして、君は…。いえ、貴方は」
父親の急な態度の変わりように、母親は困惑しながら場を眺めている。
父親はスッと息を吸い、口を開く。
「貴方はもしかして跡部財閥の息子さんじゃ…」
「アーン?知っていたのか」
「知っているも何もうちの会社の取引先だよ」
父親は顔を真っ青にしながら頭をグッと下げている。そして母親も父親に続いて事の重大性に気付いたのか、妙にワタワタとしながら頭を下げた。
なるほど。根津の性格は母親似か…。顔立ちは父親似のようだな。
俺様は頭の片隅でそんなことを考えながら、両親の言葉を待つ。
「先程は大変申し訳ありませんでした。まさか、跡部財閥の息子さんだとは思わず…」
「いや、別に気にはしてねーが。とりあえずは根津の退学は取り消してもらう」