テニスのキング様
□頂上対決
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「アドバンテージサーバー」
審判の声がやけに大きく聞こえた。
青学の部長がギュッと球を握るのが見えた。
あと1球…あと1球で…
ー氷帝学園の負けが決まる−
跡部君…。
私はただただ跡部君の勝利を信じて祈る。
今度こそ、今度こそ。全国制覇を成し遂げて欲しい。
相手の部長がボールを高く上げる。ボールを打つために左肩を上げた。その瞬間、左肩を押さえてゆっくりと崩れ落ちるのが見えた。
場の雰囲気が騒然としている。
相手の部長がベンチに一旦下がる中、跡部君はコートに立ち尽くしていた。その顔は全く嬉しくそうじゃなかった…。
「跡部君…」
小さく呟く。
私には跡部君の気持ちは分からないけれども、でも。想像する事ならできる。きっと跡部君は…。こんな決着は望んでないんじゃないだろうか。やっと本気でぶつかり合える相手と巡り会えたんじゃないか…。そんな気がした。
そんなことを悶々と考えている間に、青学の部長がベンチからコートに戻っている。
このまま、最後まで試合を続けるつもりだ。