テニスのキング様
□図書館デート
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跡部君が眉をしかめる。
カーテンがまたふわりと舞い上がって風が図書館に入り込んでくる。
「なんでいきなりテニスなんだ」
「えっと、あの」
少し照れる。言っていいものだろうか。いや、ここははっきりと自分の気持ちを言ってみせる。
「あの、一年生の子に跡部君を…。その。ゲットするためにテニスをやったらいいんじゃないかと言われまして」
「…」
跡部君は腕組をしながら黙って私の話を聞いている。
う…。こういう時こそ何か言って欲しい。
私は赤面しながら言葉を続ける。
「だからまずは実践の前にルールとかを学んでおこうと、思いまして」
「…そうか」
跡部君は私の隣に座る。と、私の顔を覗き込んだ。
「テニスを知るならいい方法があるだろ。アーン」
「あああああ、跡部君?」
急に跡部君の綺麗な顔がフレームインしてビックリしてしまう。
それにテニスを知るいい方法って。
私がワタワタしていると跡部君はフッと笑う。
「俺様に手取り足取り教わればいいだろ」
「ヒぇッ」
耳元で囁かれ変な声が出てしまう。
しかも何かあるたびに変な声を出しているような…。