テニスのキング様
□図書館デート
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「マネージャーとかは考えたことあるけど。テニスをやろうとはあんまり」
「え、何でですか!やりましょうよ!」
「えっと私、運動神経あんまり良くないし。それにやるより見てる方が好きだし」
コートにいる跡部君を見つめる。跡部君は二年生とラリーをしている。
誰であろうと手を抜かない跡部君、素敵だなー。
テニスを見るのが好き…というよりも、跡部君がテニスをしているのを見るのが好きなんだけど。
すると一年生はグッと体を前に出してくる。
「そんなことでどうするんですか!」
「え?」
「跡部先輩を物にするんでしょ」
も、物にするって…。まぁそうなんだけど。
「他のファンクラブの子も跡部先輩のこと狙ってるんですよ」
「う…」
「頑張ってくださいよ、応援してるんですから」
一年生はグッと拳を握ったまま、跡部君へと視線を向けた。
私は一年生をなんだか寂しい気持ちで見つめる。
ああ、そうか。この一年生なりの精一杯の跡部君への気持ちが、私の恋のアドバイスなのか。
このままじゃ…。跡部君の隣に立てない。
−熱烈に頑張ろう−