テニスのキング様
□不思議なデート
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跡部君は私の手をグッと強引に引いて、正門に停まってあるリムジンに乗せる。
学校の皆の目線が私達に集まっているわけだけど、相手はあの跡部君だし。しかも一緒にいるのはただのファンクラブ会長だし。そりゃあ、注目するわなー。
私は跡部君の隣に座っている。やっぱり跡部君が隣にいる状況なんてないからソワソワする。
そのソワソワする気持ちを悟られないように、必死に跡部君に言葉をかける。
「あの、跡部君。これからどこに」
「スポーツショップ」
「へぇ」
「…」
「…」
か、会話が続かない。
車の窓から景色を眺めつつ、なんとか会話を続けようとする。
「そ、それで何で私を」
「雌猫共がうるさいからな」
そこで「あー」と上を仰ぎ見る。
ファンクラブの子達に付きまとわれてうんざりしてるんだなーと申し訳なくなってくるけれども。
あれ?
「あのー。私もその雌猫の一員ですけれども、それは…」
本当に自分で言ってて申し訳なくなってくる。
「お前は他の雌猫共に尊敬されているからな。お前がいれば付きまとわれることはないだろ」
う、うん…。褒められてはいるんだろうけど、全く嬉しくない。
まぁでも、跡部君と一緒にいられるわけだし、実質デートだからいいか。