テニスのキング様
□独白
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―主人公視点―
目が、目が、目が合ってしまった。
「頑張れ」って唇を動かしたけど伝わってるかな。
心臓がドキドキと脈打っている。
やっぱり跡部君のこと、好きだなぁ。
諦めたくない…。
そういえば、と思う。
跡部君と出会うまで
―私はやりたいことを諦めてきた人生だった―
父はIT会社の課長で、母は弁護士。両親ともエリートでまぁまぁお金持ち。
そのことに不満はないし、とても恵まれていると思うのだけど。
我が家では両親が絶対的で好きなことややりたいことはバッサリと断られてきた。
子供の頃やりたかった野球も女子はプロにはなれないからと習わせてもらえず。
特にやりたくもなかった外国語を勉強させられたりした。
いつもやりたいことを諦め、我慢していたような気がする。
きっと、だからだ。
跡部君のこと、好きになったのは。
全て諦めて目に光を失っていた私と正反対で、跡部君は自身を貫き通していて全てがキラキラと光っていたから。