テニスのキング様
□告白
5ページ/6ページ
「だから付き合ってください」と言葉を続けようとするものの、跡部君が私の言葉の上に被さるように話し出す。
「悪いが俺様は初対面の女と付き合う気はない」
「……デ、デスヨネー」
アハハと私は空笑いを浮かべる。
よくよく考えてみると、いや考えなくても、そりゃあそうだ。入学式初日で告白して私の一目惚れが叶うはずがない。
でも。
「それでも伝えたかったの。一度でいいから私も…跡部君のように臆さずに何かを成し遂げて見たかった。それが跡部君への告白ならいいなって」
「…そうか」
跡部君は静かに呟いた後、「それに」と言葉を続ける。
「それに俺様は当分誰かと付き合う気はない」
「え?」
「俺様はテニス部に入る。そして、俺様率いる氷帝学園が全国を掴み取る!今はそれしか考えてねーからな」
そう言った跡部君の目がまたキラキラと煌めいて、振られたばかりなのにまた胸が高鳴ってしまう。
やっぱり私…。跡部君のこと、諦めたくはない…。
「もし、もし。テニス部が全国を掴み取ったら跡部君は誰かと付き合う気になる?」
「アーン?何言ってんだ、お前」
トンチンカンなことを言っていると分かっていた。けれどやっぱり。