テニスのエース様

□練習開始
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私は唾を飲み込んで、声を張り上げる。

「あとっ五周!あと、五周、だから頑張ってっ!」

「部長っ!も、もう、無理、です」

後ろから定子ちゃんの声が聞こえる。

今の順番は柿本君、それに続いて私。かなり離れて重之君、恵歌、定子ちゃん。

一番後ろにいる定子ちゃんがここまで聞こえるくらい大声を出したということは、かなり辛いんだろう。

でも…。

「ゆっくりでいい、から。だから最後までっ」

最後までやり遂げることが大事なんだ。

「かるたは…最後、まで。勝敗が、分からないっ」

かるたでは大差で負けていたのに、最後の最後で大逆転というパターンは珍しくない。

だからきっと…。この校庭十周もかるたに繋がっている。

「最後までっ、やり遂げよう!」

チラリと定子ちゃんを振り返ると、走るペースが遅くなっている。他の部員も。

でも…。

−目は諦めていない−

そうだ。この諦めない強さが、うちの青春かるた部の持ち味。
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