テニスのキング様
□両想い
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跡部君の整った顔が近付いて来る。バクバクと胸が高鳴る。
「俺様も…きっと最初から根津が好きだった。入学早々告白してきた度胸も。俺様を諦めないと言ってきた日から、な」
「跡部君…」
跡部君は段々と顔を寄せてきている。
「烈火」
「ヒャイっ!」
突然下の名前で呼ばれた。
は、破壊力が凄い…。
「もう付き合ってるんだ。いつまでも跡部君じゃ、示しがつかねーだろ」
ということは…。下の名前で呼べと言う意味で。
「け、景吾君」
跡部君の顔がグッと近付く。私は息が跡部君にかからないようにと息を止めるのに必死だ。
バクバク、と心臓が音を立てる。
跡部君の手が顎から下唇に移り、そして。跡部君の唇が私の−−。
「跡部坊ちゃま、着きました」
キキッと車が急停止する。と同時に、私達はバッと距離をとった。
そうでした。車の中でした…。
「降りるぞ、烈火」
跡部君は手を差し出し、私を支えながら車から降りる。降りて視線を上げると、そこは遊園地だった。