テニスのキング様
□不思議なデート
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今日のテニス部はお休み。とはいえファンクラブの子に休みはない。今日も跡部君の追っかけをしているはず…。
私はというと学校の敷地内では追っかけをしているけれども、私生活ではあまり詮索しないようにしている。
いくら跡部君が好きとはいえ、プライベートは大事にしてもらわないと!
私は教科書、ノートをまとめて鞄に詰め込む。帰ろうと思って席を立つと、目の前には何故か跡部君がいる。
「…跡部君…?」
跡部君から私の所に来るなんて。う、嬉しすぎるっ!
「おい」
「はっ、はいっ」
「俺と付き合え」
………。
付き合う?跡部君と?
手をつないだり、キスしたり…出来るというわけで。
―今まで生きててよかった!!!!―
今までずっとずっと跡部君を応援して、やっと念願の思いが叶った。
嬉しいっ!
「はいっ、もちろんっ」
赤くなった顔を手で隠しながら、精いっぱい言葉を紡ぐ。
「…」
だが跡部君、それから何も言葉を発さず。
「跡部君?」と手を顔からどけて跡部君を見ると、
「言っておくが、恋愛の意味じゃない」と一言。
「……」
しばらくの沈黙。
「ですよねー」
やっぱり現実は甘くなかった…。