テニスのキング様
□告白
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今日は氷帝学園中等部の入学式。だというのに早く入学式なんて終わらせろオーラが体育館中に漂っている。
氷帝学園は進学校。時々、転校生が入学してくることもあるけれど、幼稚舎から知っている子がほとんど。だから大した刺激もなく、皆飽き飽きしている。
せっかくの入学式なのに…。なのに、周りの子には目の煌めきがない。
なんとなく中等部に入ったら何かが変わるような気がしたけれど…。そんなことない、か。
「新入生代表、跡部景吾くん」
先生から声がかかり、男子生徒が体育館前の舞台に上がってくる。
跡部景吾くんといえば、なんでもあの跡部財閥の坊ちゃんでもの凄いお金持ちなのだとか。
私と同じクラスでかなりの美形だってことは知っているけれど、実はよく分かっていない。
幼稚舎では話をしたこともなかったし、会ったこともなかったから。
跡部君はカツカツと派手に靴音を鳴らしながらマイクの前に立つ。
そして―
「今日から俺様がこの学園のキングだ!!!」
「……」
…はい!?
私も含め、周りも口をポカーンと開けている。