テニスのエース様
□心を伝えよう
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空港――
ついに、この時が来てしまった。手塚君が九州に旅立つ日が……。
私達かるた部も特別にテニス部と一緒に、手塚君の見送りに空港に来ていた。
何故か越前君、桃城君、海堂君が見送りに来ていないけれど。
「結果的に皆に迷惑をかけてしまった。すまない」
手塚君は深々と頭を下げる。
「何言ってんだい手塚よ!誰もお前を責めたりはせんよ」
「うん…。関東大会勝って全国への切符を必ず手に入れとくから」
と、竜崎先生と部員たちが励ます。
テニス部は手塚君が抜けて苦労するだろうけれど、でも。今の光景を見ていると、皆がその穴を抜けてくれるだろうと思った。
「藤原」
手塚君が椅子から立ち上がり、私へと一歩近づく。
「藤原にも迷惑をかけたな」
「う、ううん」
「そうか…。俺は…」
手塚君はそこまで言って、何故か黙り込んでしまった。
???
それに何故か、かるた部もテニス部も遠く離れたところから私たちを見ている。竜崎先生までも、だ。
何なんだろう…。