テニスのエース様
□頂上決戦
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フッと息を吐き出す。あと一勝、あと一勝すれば優勝二回になる。
「藤原実沙織さん」
「は、はい」
名前を呼ばれ畳の中央に座る。決勝ともいえば観客、選手の注目が集まる。
私は緊張する鼓動を息を吐きながら落ち着かせる。
きっと今頃、と私は天井を眺める。
きっと今頃手塚君も、青学テニス部の皆も氷帝学園相手に健闘しているはずだ。だから私も精一杯、かるたをする。
軽い足音がして、私の前に女の人が座る。最後の対戦相手。
「お願いします」
相手が頭を下げる。それにつられて私も頭を下げてから、相手を見た。
「っ!」
この人…。一年の時に
ー私が負けた相手だ−
ー手塚視点―
不二がS2を制し、順番が回ってくる。
ここで勝てば全国へ近づく。
「おい手塚。ウデなまってねーよなぁ。アーン」
コートに入って来たのは氷帝学園部長、跡部景吾。
そう簡単な相手ではない。だが…。
ふと青い空を仰ぎ見る。
かるた部の部長、藤原も今頃検討しているはずだ。なら俺も、相手が誰だろうが精一杯、テニスをする。
「「「勝つのは氷帝!!負けるの青学!!」」」
氷帝側のコールが始まる。
手塚はコートの中央に足を踏み入れた。