テニスのエース様

□畳の格闘技
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「い」

詠まれた瞬間に相手陣、「いまは」に手を伸ばす。

「にしへの」

その瞬間、自陣に戻る。けれど、私の相手の副部長恵歌も同じ。さすが、「二三字きまり」を得意とするだけある。

それに今日の恵歌は冴えている。いつも試合中盤になると集中力がなくなるのに…。

きっと男子テニス部の皆がいるからだ。

でもだからこそ、私も負けられない。

「戻り手」が得意な私の維持にかけても、この札は取る。

私は恵歌よりも先に中指を使って札を払う。札は宙を舞い、隅で見ている手塚君の足元へ飛んで行った。



−−−−−−−−−−−−−−

チャンスはある時、やって来た。

いつも通り、テニス部の練習に合流しようと教室を出るとかるた部顧問の先生がいる。

「藤原さん、あなたに朗報よ」

「?」

「ずっと茶道部に交渉していたんだけれど、一日だけ許可がおりたのよ」

話が見えず、固まってしまう。

「明日、一日だけ茶道部の部室を貸してくれるそうよ」

「!」
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