テニスのエース様
□素振り
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校庭100周を走り終わり、もちろんかるた部は全員息を切らしている。
手塚君はそんな私達を思って、10分間の休憩をくれた。テニス部は全然疲れていないのに…。
私はがっくりと肩を落しながら、水道の水を飲みに行く。
蛇口をひねる。水が流れるのをただただ見ている。
テニス部のご厚意に甘えて練習に参加させてもらったけれど、ものすごくテニス部の邪魔になっているのでは…。
深いため息を吐く。
「藤原?」
隣から声が聞こえる。この声は手塚君だ。
私は隣に視線を向ける。
「大丈夫か?もう少し休むか」
「ううん。大丈夫」
手塚君からゆっくりと視線を外して、水を飲む。
「…」
手塚君は私が視線を戻すのを無言で待っている。
水を一口含んでゴクリ。
「あのね、手塚君」
「ああ」
「私達…。邪魔になってない?」
ジッと手塚君が私を見つめる。背筋に嫌な汗が流れる。
次の言葉を待つ。怖い。
「…邪魔にはなっていない」
「ホント?」
「ああ。それにかるた部には学ぶべきことが多いからな」
「?」