テニスのエース様

□素振り
1ページ/4ページ

校庭100周を走り終わり、もちろんかるた部は全員息を切らしている。

手塚君はそんな私達を思って、10分間の休憩をくれた。テニス部は全然疲れていないのに…。

私はがっくりと肩を落しながら、水道の水を飲みに行く。

蛇口をひねる。水が流れるのをただただ見ている。

テニス部のご厚意に甘えて練習に参加させてもらったけれど、ものすごくテニス部の邪魔になっているのでは…。

深いため息を吐く。

「藤原?」

隣から声が聞こえる。この声は手塚君だ。

私は隣に視線を向ける。

「大丈夫か?もう少し休むか」

「ううん。大丈夫」

手塚君からゆっくりと視線を外して、水を飲む。

「…」

手塚君は私が視線を戻すのを無言で待っている。

水を一口含んでゴクリ。

「あのね、手塚君」

「ああ」

「私達…。邪魔になってない?」

ジッと手塚君が私を見つめる。背筋に嫌な汗が流れる。

次の言葉を待つ。怖い。

「…邪魔にはなっていない」

「ホント?」

「ああ。それにかるた部には学ぶべきことが多いからな」

「?」
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ