テニスのエース様
□最悪な再開
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あれから月日は流れ、今、私は三年生。かるた部の部長をやっている。
もちろん、A級の選手になって…。
手塚君とはあれ以来、全く接点がない。同じクラスになったこともない。あの時手塚君に励ましてもらったから、もう一度ありがとうを言いたいのだけど…。わざわざ違うクラスにまで行って呼び出してまで言うことなのかと言われると違う気がするし…。
だから全く接点がなく、三年生になってしまった。
手塚君も男子テニス部の部長をやっているし、お互い一年生の時とは違った気持ちで話してみたい…。
スッと息を吸う音が聞こえる。
いけない。今は練習試合に集中しないと…。
私はジッと対戦相手を見つめる。
相手は後輩の定子ちゃん。二年生でしかもかなりかわいい。三年生の私にすら二年生の中で一番かわいいと噂が届くくらい。
「人づてならでいふよしもがな」
下の句を詠まれる。そして…
「ほ」
バッと相手陣に手を伸ばすものの…。さすが、一字決まりが得意なだけある。しかもその中でも一番好きな得意札「ほ」。
私の手の下に定子ちゃんの手がギリギリ入り込んでくる。
その瞬間、廊下や窓から歓声があがる。
皆、定子ちゃんを見に来ている男子生徒だ。