テニスのエース様
□畳の格闘技
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試合時間、約二時間半。試合終了。
私と恵歌の試合は五枚差で私の勝ち。
「ゴホン」と私は皆に向かって咳ばらいをする。
その瞬間、部員他テニス部の視線も私に向かう。
「今日、皆調子よかったね」
私はかるた部員の一人一人を見渡す。褒められたからか、皆自信に満ちた顔をしていた。
「でも、今回気付いたことがある」
私は見渡した後、茶道部の傷一つない畳をジッと見つめていた。
「私も今日はかなり調子がよかったけれど…。でも、それは今日だけ」
「「「「……」」」」
シンと場が静まり返る。
いつもは騒がしいテニス部も何かを察したのか、黙り込んでいた。
「私はテニス部がいるからいつも以上に頑張らないと、って思っていた。けれどそれは違う。練習中、常日頃から試合と同じ緊張感を持っていなきゃいけない」
私は畳から視線を上げる。
「ごめん。明日からまた気を付ける」と呟く。
私はグッと拳を握りしめた。
そういえば一年の時もそうだった。一年の試合で負けた時も、私は青春のどの先輩より強くて調子に乗っていた。そしてそれは今も…。
−全く直っていない−
私の欠点はこれだ。