テニスのエース様
□心情
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「私も、昨日はごめんなさい…。手塚君が悪いわけじゃないって分かってたの。ただ…何も出来ない自分が悔しくて腹立たしくて」
「ああ…」
俺は右手を差し出す。その手の意味にハッと気付いたかと思うと、すぐさま同じように右手を差し出した。
そして堅くお互いの手を握り合う。
「仲直り、だね」
「ああ」
藤原が涙をこらえながら笑う。その姿に、熱い塊が胸に雪崩れ込む。
今まで合同で練習していた時も一生懸命な藤原の姿に胸を打たれたことがあったが…。この気持ちは今までのものと違う。
−この気持ちは…−
「そういえば、手塚君。肩、治るよね…?全国大会、間に合うよね…?」
藤原の問いかけに、モヤモヤとした思考を断ち切る。
俺はしっかりと「治す」と答える。
「この肩を必ず治して、戻ってくる。藤原のところへ」
「…手塚君」
「そして今度こそ、青学が全国を掴み取る」
その言葉に藤原が強く頷く。
「待ってる。待ってるから、私。前の自分より強くなって、手塚君を待ってる」